目標は銘柄豚の中でも肉の品質について、良い意味で他との明確な違い、品質の均一性、安全性のある高品質豚肉系統の開発でした。他との明確な違いという点で、徳島県内に広く生息し、優れた肉質であることから高値で取引されていた日本猪を遺伝資源として選定しました。
DNAの特定の配列を指標として選抜に用いるDNAマーカー育種の実証について計画しました。
遺伝子解析の結果から示された、優良猪遺伝子が存在する領域についてDNAマーカーを指標とした遺伝子導入を開始しました。ここでは遺伝子の配列的特徴を把握し、計画的に目的とする遺伝子構造を持つ個体の作出を可能にすることから遺伝子導入という言葉を使っていますが、一般に考えられる遺伝子改変動物(ジェネティック・モディファイド・アニマル)のような人為的な胚操作を行っておらず、通常の交配により子豚を生産します。
具体的には図1のように猪と豚のF1、すなわち猪豚に別の豚を交配します。その子豚には猪遺伝子を持つ個体と持たない個体が存在しますが、DNAマーカーを指標として目的とする猪遺伝子を持つ個体を種畜として選抜します。この作業を数世代繰り返すことで目的領域以外は豚という豚群が完成することになります。
平成22年には、第6および第15染色体の目的領域をともに猪型となった個体が誕生し、繁殖豚として選抜しました。
平成24年には、繁殖豚を払い下げられる目処がついたので、生産者の公募および選定、協議会の設立、名前の公募更には指定販売店の公募および選定など、ブランド化に向けて動き出しました。
平成25年6月に名前を公募し全国2032作品の応募を頂き、ブランド確立対策協議会などの 審査を踏まえ「阿波とん豚」が決定しました。
「豚」と「とんとん拍子」をかけて、 響きも良く銘柄豚として順調に伸びることの期待を込めて決まった銘柄名です。ロゴマークも公募により9月に決定されました。「阿波」は阿波踊りの笠の中に「と」は剣山と吉野川をイメージしています。